開窯一八○四年 江戸城御用窯として
幸兵衛窯は、文化初年(一八〇四年)初代加藤幸兵衛により、美濃国市之倉郷にて開窯され、間もなく江戸城本丸、西御丸へ染付食器を納める御用窯となりました。流麗精緻な染付の優品を手掛けた二代、中国宣徳染付の研究に没頭した三代、名人気質の四代の後を受けた、五代幸兵衛(一八九三~一九八二)は、青磁、金襴手、染付、赤絵、天目など中国陶磁をはじめ、乾山、李朝など幅広い技法を駆使した名品の数々を生み出し、幸兵衛窯の礎を築き上げました。
六代加藤卓男 人間国宝を輩出
六代加藤卓男(一九一七~二〇〇五)は、長年の研究の末、ペルシア陶器や正倉院三彩の技法を復元し、ラスター彩、青釉、三彩、ペルシア色絵など伝統と独創の融合した作品を制作しました。これらの功績により人間国宝に認定されました。それらペルシア陶技は七代加藤幸兵衛へと引き継がれ、さらなる独自の現代的な作風を展開しております。また八代加藤亮太郎は、美濃桃山陶の伝統に正面から挑んでおります。そして七代幸兵衛、亮太郎の指導のもと、二十余名の熟練職人を擁し、品格ある和食器の制作を志しております。
ミシュラングリーンガイド二つ星に選定
幸兵衛窯では、様々な展示館にて焼き物にまつわる展示をはじめ、作陶体験や工房ガイドなど、美濃焼に親しんでいただける取り組みをしております。
2009年より、フランスの由緒ある観光名所ガイドブック、ミシュラングリーンガイドにて、幸兵衛窯は2つ星★★に認定されております。お近くに出掛けた際に「寄り道する価値がある」場所として、同書にて推薦されております。
五昼夜焚き続ける穴窯 焔を操る
古陶磁資料館の座敷からのぞむ半地上式穴窯。
この窯は、桃山時代様式で昭和48年に加藤卓男が再現・築窯しました。現在でも、加藤亮太郎が年に数回焼成しています。
志野、瀬戸黒、黄瀬戸などを焼成します。
もう一つの小振りな穴窯は、瀬戸黒を焼成する専用の窯として平成30年に加藤亮太郎が設計、築窯したものです。